Keichousaurus hui   ケイチョウサウルス(貴州竜)   三畳紀中期   中国貴州省産
 母岩長 34.5cm 幅 22.5cm 本体長 26cm 重さ約 2.58kg ケイチョウサウルスは首長竜(プレシオサウルスなどの仲間)のなかまの先祖と言われ、大型恐竜全盛期の、ジュラ紀、白亜紀、より一つ古い時代の三畳紀中期(約2億4000万〜2億3000万年前)に生息した小型の爬虫類です。背面は頭蓋骨の目や鼻、歯など手指の骨一つ一つまではっきりと観察できます。骨は幾分、立体的に保存されています。

 最近になって、中国南部の貴州省で、お腹の中に胎児が入っているケイチョウサウルス(Keichousaurus hui / 貴州竜)の化石が発見されました。卵ではなくて、胎生だったことがわかる初めての発見です。
 ということは、近い仲間のクビナガリュウも水中で赤ちゃんを産んだと考えられるのです。
もちろん、ケイチョウサウルスもクビナガリュウも恐竜ではなく、海にいた爬虫類の仲間です。ところで、爬虫類はなぜ海の中で卵を産まずに、ウミガメのように、わざわざ陸に上がるのでしょうか? 理由は卵の構造にあるのです。それは、爬虫類の卵が羊膜で包まれている羊膜卵であるからです。酸素は通しますが水分を通さない羊膜のおかげで乾燥に耐え陸上に産むことが出来るのです。

 ケイチョウサウルスが発見されたのは三畳紀中期(約2億4000万〜2億3000万年前)の地層からです。ちょうど恐竜が誕生した頃です。首と尾が長く、手足には指がありますが、海での生活に適応しヒレ状になっています。細長い体をクネクネと曲げて水中を漕ぐように泳いでいたようです。

ケイチョウサウルスでは、動かすことが出来る骨盤を進化させることによって胎生が進んだのではないか、とされています。子供を産むときには骨盤が開く必要があるためです。
 もっとも、胎生といっても、ケイチョウサウルスの場合は、腹の中で卵を生んで孵化させ、ある程度大きく育ててから産むのです。哺乳類のようにヘソの緒でつながっているわけはなく、卵胎生といわれています。